シンチャオ! サイゴンノオトのわん吉@シンガポールです。
シンガポールには本当にいろんな国や民族の人たちが暮らしていますが、海をはさんだ対岸にあるインドネシアの人たちもたくさん住んでいます。
人がいれば、食もある。インドネシアの食堂もあちこちにあり、街を歩いているとインドネシア料理のおいしそうな匂いがプーンと漂ってくることもしばしばです。
インドネシアの食卓になくてはならない「サンバル」
ところで、このインドネシアのおいしそうな匂いの正体をご存知でしょうか。
それは「サンバル」という、インドネシアのソウル味覚ともいうべきチリソースです。
実体は、唐辛子のチリに、エビダシのペースト、ニンニク、しょうが、小さい赤玉ねぎ、細いネギ、ライム、ヤシ砂糖などを石のすり鉢で練り混ぜたもの。
インドネシアの各地で作り方や味は異なり、それぞれの家庭に伝わる味があります。日本でいうと、味噌や漬物といったところでしょうか。でも、唐辛子のペーストですから、もちろん辛いです!
家庭に伝わるサンバル。旨みと辛味の絶妙はハーモニー
先日、インドネシアの方から手作りのサンバルをいただきました。
見るからにおいしそうな色合い。そして蓋を開けるとプーンと立ち上る旨み系の匂い。この匂いのおおもとは、サンバルのおいしさを演出するエビの濃厚旨みダシペースト「テラシ」の香りです。
初めて嗅ぐ人にとっては「うぅっ、ちょっと魚臭い・・・」と思うかもしれません。でもこれこそがインドネシアの味覚の真髄。チリとテラシ、辛さと旨みは、インドネシアの食卓になくてはならないものなのです。
さて、この手作りサンバル。作り手のインドネシア人が「辛いから気をつけてね」というくらいで、本当に辛かった。ほんの一滴で、口の中が燃えました。が、その奥に漂うバランスのいい旨み。確かにおいしい!
そしていつも思うのですが、この辛いサンバルを余裕な顔で味わうインドネシアのみなさんがうらやましい。インドネシアでは子どもの頃から少しずつ辛いものを食べ始めるのだとか。それがふるさとの味覚になるんですね。
サンバルは何にでも合わせられる
サンバルはチリペーストなので、基本は料理の引き立て役。インドネシアではたいていどんな料理にもついてきます。
例えば、こちらはインドネシア北部のスマトラ島の郷土料理、パダン料理のテイクアウト。包み紙は開けるとそのままお皿になります。
白飯に何種類かのお惣菜を合わせた定食ごはん。お持ち帰りの場合は、全部まとめてぐるぐる巻きです。写真では見えませんが、奥にサンバルがついています。
こちらはシンガポールの屋台村で食べた空芯菜の炒め物。炒める際にサンバルを合わせた一品。サンバルの旨みが花開いて、なんともおいしい匂いで運ばれてきます。
お魚のグリルは、表面にサンバルが塗りたくられていました。これもおいしくてビールが進みました。
最近は日本でも「サンバル」が手軽に手に入るようです。いつものお料理に少し加えるだけでも、食卓がグッと東南アジアになること間違いなし。
辛さで体も温まりますし、ぜひ寒いこの季節に楽しんでみてはいかがでしょうか。