ベトナムレストラン ピーフォーTháp Phú Diên（ミーカン遺跡）〜フエ沿岸の砂丘からみつかったチャム塔〜
チャンパ王国時代に築いたとされるチャム塔が、トゥアティエン・フエ省沿岸の砂丘から発見されたのは2001年4月でした。
場所は、ミーカン村フーディンコミューン、フーヴァン地区です。タムジャンラグーンと南シナ海の間に挟まれる地理にあり、当時、鉱物採掘をしていた労働者たちが、地上から5m~7mの砂の下にレンガのブロックをみつけました。すみやかに政府に伝えられ遺跡の保護と調査がおこなわれたそうです。
村の名前からミーカン遺跡と名付けられました。このチャム塔は、Tháp Mỹ Khánh（タップ・ミーカン）または、Tháp Phú Diên（タップ・フーディエン）と呼ばれています。
静かな砂浜に寄せてはかえす波の音。
チャム塔から海はとても近いです。
砂丘に埋もれて波音を聴きながらどれくらいのときを経たのでしょう。
Tháp Phú Diên（フーディン塔）の案内です。村の道路から遺跡に通じる坂道を上がるところと、この写真の遺跡の入り口にあります。
写真右側にバイクの停まっている階段を下りると、すり鉢状の底のような場所にTháp Phú Diên（ミーカン遺跡）があります。
チャム塔を保護するためガラス張りのドームに覆われています。遺跡を科学的に調べたところ8世紀中頃に建てられたそうです。チャンパ王国時代の塔のなかで、現存する最も古くて最も北部にあるチャム塔であることがわかりました。
周辺の緑の植え込みは、木麻黄/モクマオウ（フィーラオ）です。防風・防砂林になるそうです。
フエ沿岸の海岸侵食は進んでいます。遺跡を守るためにも対策があるといいのですが、塔が建てられたころと比べて地形の変化があると思うので、ミーカン遺跡は、海の底にも関連遺跡があるのではと思います。
塔の前には、線香や飲みものが供えられていました。この祭壇は、チャンパの像や石碑がたっていたのでしょうか。
塔の奥には祭壇があります。チャンパの祭壇はリンガとヨニがまつられていますが、ヨニと花瓶は発見されたそうです。未確認ですが、博物館に移されて保護または展示されているようです。
この日は、朝からどんよりとした曇り空でしたが、祭壇に手を合わせると東の空からあたたかい太陽の光が入ってきました。神々しく感じました。
この陰刻（沈み彫り）は、なんのモチーフでしょう。植物の葉や花のようにみえました。レンガは美しく磨かれていて、この塔に触れることはできないのですが、やわらかな優しい温もりを感じます。
Tháp Phú Diên（ミーカン遺跡）は、ミーソン遺跡のE1タイプ（チャム建築の古代様式）に属するそうです。ミーソン遺跡（クアンナム省）は、1999年に世界文化遺産に登録されました。
レンガに施された模様はさまざまです。無垢で原始的な魅力を感じます。
レンガの積み方にも趣があり見入ってしまいます。隙間なく積まれています。
野ざらしですがレンガのブロックが残されていました。フェンスで囲われています。
ミーカン遺跡から村へと下る坂道の眺めです。
現在のフエの農風景が広がっています。畑の向こうはタムジャンラグーンがみえます。
坂道を下りると、Tháp Phú Diên（ミーカン遺跡）を案内するレンガの碑があります。傍らにはプルメリアが植えられています。
プルメリアの花は、チャンパを象徴するもので、フエの人々が思いを寄せてくれたのだと思いました。
チャンパの木は、清らかな佇まいで白に黄の花を咲かせていました。
Tháp Phú Diên（ミーカン遺跡）
場所：Thôn Mỹ Khánh, xã Phú Diên, huyện Phú Vang, tỉnh Thừa Thiên Huế.
地図：Tháp Phú Diên
参考：
Nguyễn Văn Kự 著： Di Sản Văn Hóa Chăm Heritage of Cham Culture（2008年）
ベトナム・フエ便り NO.10 平井幸弘：プーディエン村の砂丘に埋もれたチャムタワー
トゥアティエン・フエ省のウェブサイト：THÁP CHĂM PHÚ DIÊN
