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VOL.240 石川文洋 写真展 戦争証跡博物館にて(2025年)

release : category : ベトナム〜おいしい散歩〜

石川文洋さんの訃報を戦争証跡博物館のフェイスブックで知りました。沖縄・那覇市生まれのフォトジャーナリストで、ベトナム戦争の最前線を伝えています。博物館の常設展には、当時の報道写真やB-52爆撃機の残骸の一部などが展示されていて、命をかけて撮影された写真のなかに石川文洋さんによる貴重な作品を見て感じることができます。

 

写真:石川文洋 PEOPLE IN THE WAR 戦争証跡博物館にて

2025年、私はベトナム戦争がおわって50年の戦争証跡博物館に再訪しました。石川文洋さんの写真は常設展のほかに特別展が設けられていました。ベトナム語・英語・日本語の解説が付いています。

文洋さんのカメラに収められた熱く冷静な視点と村人へのまなざしに思いを寄せて見ることができました。この博物館に訪れるたびに、どうして農村で暮らす人々をまきこんでしまう戦争となるのか。耐え難い気持ちで胸がいっぱいになります。

一枚の写真には、村人の暮らしの温もりがあり、豊かな自然に包まれた農風景がありました。爆撃を受け、風景は一変してしまいました。

文洋さんの日本語の解説によると、南ベトナムの農村は、サイゴン政府支配区・解放区・昼は政府支配区で夜になると解放区となる競合地区の3つに分かれていて、農村の7割は完全解放区となり攻撃にさらされて多くの農民が死傷したのだそうです。

もし、その場に私がいたら、どのような心境になるだろうか。私は文洋さんの生まれ故郷の沖縄戦(1945年)を思い出しました。

 

  石川文洋さんの私が見たベトナムの50年

私が見たベトナムの50年

1964年8月、米軍はトンキン湾で駆逐艦が北ベトナム海軍の攻撃を受けたことを口実にして北ベトナムを爆撃しました。私はその直後の8月8日、初めてベトナムへ行き、翌65年1月から68年12月までサイゴン(現ホーチミン市)で生活しながらサイゴン政府軍、米軍に同行して戦場を撮影しました。日本に帰国してからも現在までベトナムの取材を続けています。 私は沖縄で生まれました。アジア・太平洋戦争の時、日本軍と上陸した米軍との戦闘に巻き込まれた沖縄の人々は、人口の4分の1人の割合、12万人以上が犠牲となりました。米軍の爆撃、艦砲射撃、砲撃は人命を奪うだけでなく、文化財、自然を破壊しました。 ベトナムの戦場で多くの民間人が命を失い国土が破壊されていく状況を私は沖縄戦と重ねながら撮影しました。 今でも存在する沖縄の基地が、ベトナム戦争での米軍を支えていたことも沖縄人として心を痛めました。 戦争が終わって今年で40年。薬剤、不発弾の被害など戦争の後遺症が深く残っていますが、産業や文化など各分野で発展をしている状況は素晴らしいと思っています。
                                             2015年4月27日 石川文洋

 
石川文洋さんのご冥福を心からお祈りします。大切なメッセージを受け取りました。

 
私もベトナムの旅で沖縄のことを思うようになり、沖縄にいきました。
ベトナム戦争の時、B-52は、沖縄の嘉手納基地からベトナムに飛び立ちました。米軍の出撃拠点となった沖縄をベトナムの人たちは「悪魔の島」と呼んだそうです。北部訓練場ではベトナム村が設置されていたと聞いています。
悪魔の島の話は、糸数アブチラガマのガイドさんから聞きました。そのガマには沖縄戦の時にひめゆり学徒隊が配属されました。

沖縄の人々の痛みを、現地で知りました。

 

戦争証跡博物館(ホーチミン市)

BẢO TÀNG CHỨNG TÍCH CHIẾN TRANH / WAR REMNANTS MUSEUM
28 Võ Văn Tần, Phường Xuân Hòa, Thành phố Hồ Chí Minh
https://baotangchungtichchientranh.vn/vi

戦争証跡博物館は、フロアーごとにテーマがあります。世界各地におけるベトナム戦争の反戦運動、戦時中につかわれた武器類の展示、民間人を巻き込んだ地上戦の記録、ナパーム弾・枯葉剤(オレンジエージェント)の土壌汚染による健康被害について、また、フォトジャーナリストによるベトナム戦争の写真には日本人のカメラマンの出展もおおく、沢田教一さん(ピューリッツァー賞)、一ノ瀬泰三さん、石川文洋さん、中村悟郎さんの写真が大きく展示されています。

 
博物館では、子どもたちに伝えるために学校で巡回展をおこなっています。
この時は、石川文洋さんの「戦争と平和」写真展(2023年)でした。
“Việt Nam: Chiến tranh và Hòa bình” Ishikawa Bunyo(NB)
旅する写真展 ホーチミン市の高校にて。戦争証跡博物館のフェイスブックより。

 
長野放送:【石川文洋さん追悼】「写真を見て想像することが戦争を止める力になる
最前線を知る86歳の報道写真家・石川文洋さんが現代の若者に語り継ぐ戦争の真実 #1

 
フォトグラファー 青木由希子