中部高原地方ザライ省の省都、プレイクにある市場は広くて食材の豊富さにおどろきました。そのなかで、山岳民族の人々が背負いカゴひとつで売りにきている朝摘みの野菜にも心がひかれました。
かぼちゃの葉と黄色い花。日本ではかぼちゃの実を食べますが、ベトナムは葉や花も食べます。スープや炒めものにするとかぼちゃの花のふくよかでやさしい香りがします。かぼちゃはつる性の野菜で、つるも茎も葉も一緒にさっと湯がいて、ベトナムのしょうゆにつけて炊きたてのごはんにのせたら最高においしいです。
ひょうたんとさまざまな葉野菜。朝摘みの新鮮なあまい香りが市場に広がります。
竹製の手編みの背負いカゴの上に野菜をのせていて、カゴのデザインからおそらくバナ民族だと思うのですが、民族のオリジナリティ、暮らしの美しさを感じるものでした。私もひとつ持っていますが、荷物を運ぶときに身体に負担がかからないようにつくられているのがわかって、つかう度に愛着がわいてきます。
竹ひごで結わえた空芯菜をのせたアイアン製のバスケット。とてもシンプルにつくられていました。
これは竹製とスチール製の背負いカゴです。昔からのものと新しいものが混在しているところが市場全体にみられて、興味深かったです。たけのこを売っていました。
プラカゴのテープのバスケットには、たくさんのラウマーとヘチマがはいっていました。ラウマーはゴツコラ、つぼ草のことで、苦味があり身体の熱をとる効果があります。主に青汁のジュースやスープにします。ヘチマは炒めるとワタのところがとろっとして、くせになる味わいです。
きゅうりとランブータン。カゴのなかは、ちょうどよく野菜がおさまっています。無造作にみえるけれど、なるほどと思いました。
らっきょうを売りに、お母さんときていた女の子。まっすぐな瞳が印象的でした。彼女が大人になるころ市場はどのように変わっているでしょう。旅をした日を思い出しながら、ふと、そう思いました。
山岳民族の背負いカゴが運ぶ野菜は、市場のなかで人気があります。小さな商いから中部高原の山河に育まれた大切な贈りものがありました。