VOL.58のつづきです。
それでは出かけましょうか。エビの養殖所のおじさんがボートを出してくれました。
夕暮れ時のエビの養殖所。空と沼の色が刻々と深まっていきます。ボートをこぐ水の音が響いています。
こちらはひたすら元気に飲んでいます。
Một Hai Ba Vô! モッ・ハイ・バー・ヨー!(1、2、3、乾杯!)エビの養殖所に乾杯〜!陽気なかけ声が何度も響きわたります。
ふりむくと東の空はまだ青くて、白い雲が清々しく天に昇っているように見えました。
フエはエビの養殖が盛んなところです。ここではオーナーが何人もいるので、沼地に柱と網で柵をつくり、エビが外に流れ出ないようにしています。夜中にエビが盗まれないように見張り小屋もあります。朝方までエビの番をして、収穫して家に戻ったら、業者に卸すか奥さんが市場まで売りにいきます。真ん中にある筒状の網は水中に仕掛けておいて、魚や蟹をとります。
エビの養殖所を抜けていくと・・・。
そこには、一軒の家が建っていました。
エビの養殖所のおじさんの家でした。
ビールとおつまみを差し入れして、みんなで『乾杯!』
しばらく世間話をしています。
名残り惜しいですが、そろそろ日が暮れるので帰ります。家の中から女の子がずっと見送ってくれました。
もうすぐ、静かな夜がきます。空の光や雲の色が沼に映し出されて合わせ鏡のように思えました。
Hiếu(ヒュウ)くんがご機嫌に乾杯!ボートトリップ、楽しかったね。
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居酒屋に戻ると、エビの養殖所のおじさんが自作の歌を披露してくれました。有名な歌のメロディーに詩をつけたものだそうです。
「エビ、魚、蟹が不漁で貧乏だけど、あなたは私と一緒になってくれますか?将来は明るくなるようにがんばるから…」おじさんが歌い、みんなは目を閉じて茶碗と箸でリズムをとりながら、しみじみと昔を思い出しているようでした。