日本のお正月は、寒波のため大雪に見舞われる地域もありましたが、ベトナムはこれから旧正月「Tết(テト)」を迎えます。立春を過ぎて、新暦2月12日にあたります。庭や居間にTếtの黄色い花Hoa Mai(ホア・マイ)や桃の木などを飾り、粽(ちまき)やお茶うけの生姜や蓮の実、ココナッツスライスの砂糖漬けなどをつくり準備に忙しくしているころだと思います。
*Tếtとは、季節の節目をあらわしていて、漢字の「節」に由来するそうです。元旦節Tết Nguyên ĐánをTếtと呼んでいます。
フエのおじいさんの家で旧正月の粽づくりをしたとき、南部式のBánh tét(バイン・テット)は、バナナの葉を重ねて、もち米と味付けをした緑豆あんと豚バラ肉を筒状に包み、竹ひごで結わえて一晩かけて茹でます。北部式は、Bánh Chưng(バイン・チュン)といい同じ具材をゾンという葉で四角に包みます。
バナナやゾンの葉で包んでいるとき、もし、その葉っぱが破れていたらきれいな葉を重ねて包むのですが、
ベトナムの諺に「Lá Lành đùm lá rách.」
破れていない葉は、破れている葉を包むべき。というのがあります。
Lá Lành(健康な葉)・lá rách(破れた葉)・đùmは、包むという意味です。一年を振りかえれば、この諺を何度も聞きました。今年はパンデミックや台風による自然災害が起こりベトナム各地で慈善活動がおこなわれました。もし、暮らしに困る人がいたら手をさしのべるという助け合いの心があらわれていると思います。
*この記事を書いているときにベトナム北部でCOVID-19の感染が確認されニュースになりました。一日も早い収束を願うばかりです。どうか穏やかな旧正月を迎えられますように。
フエのおじいさんに会いにいくと、
いつも炭火でお湯を沸かしてお茶をいれてくれるのですが、
3匹の子猫が残り火で暖をとっていました。
炭火のそばに木片を置いてあげて、みんなで温まるようにしています。
おじいさんのやさしさに気がつくと、心がほかほかしてきます。
通りにでると、Tết を祝うベトナム国旗が掲げられていました。
右側の竹林沿いには小川が流れていて、舟で荷物を運んだり、魚釣りに出かけたり、
時々、洗濯をする風景にも出会います。
洗濯物と魚の竹かごです。浅い川や沼地で魚をみつけたら筒型の竹かごをかぶせて手で捕まえます。
この村もラグーン地域にあり、この川沿いから、田んぼとエビの養殖場に舟をこいでいくこともできます。
写真奥にみえる淡いみどり色は、田植えを終えたばかりの田んぼです。
他の家でもBánh tétをつくっていました。
バナナの葉の束がたくさん運ばれていたので、家族や親類に配る他に、注文を受けて店や市場に卸すのかもしれません。
道端に自転車が停められていました。
プラスチックボトルや金属片などのリサイクル資源を集めるために、一軒一軒をまわっています。
もうすぐ来るTếtのために、お金に換えます。
時折、小雨が降る一日でした。
雨よけにもなるノン・ラー(すげ笠)が自転車のハンドルにかけられていました。
もし、庭先で果物や野菜が採れたら、市場に持っていくこともあります。
市場の前や、ちょっとした店先のスペースを借りて商売をしているのをみかけます。
家族と過ごすお正月のために、市場は譲り合いながらより一層にぎやかになっていきます。
フエの歩道にて。この花束は、私の家の忘年会は無事に終わりましたと伝えるものです。
ベトナムでは、Lễ Cúng Tất Niên(レー・クン・タッ・ネン)といって、年末になると職場や家庭で祭壇をつくり、一年の感謝を捧げて、Tiệc Tất Niên(テッ・タッ・ネン)という忘年会をする習慣があります。
旧暦お正月の粽(ちまき)づくり フエのおじいさんの家にて。
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