ダラットを思い出して写真をみていたら、Bánh đậu xanh trái cây(バイン・ダウ・サイン・チャイ・カイ)というベトナムのフルーツをかたどったカラフルなお菓子をみつけました。
ポニーテイルの女の子が、お菓子づくりをする家の工房をのぞきにきていました。後ろ姿がかわいくてカメラに収めたのを思い出します。10年ほど前の写真です。
私のダラットの友人の親類にあたるおばさんの家でBánh đậu xanh trái câyはつくられていました。
Bánh đậu xanh trái cây のBánhは粉もの全般につく単語で、đậu xanhは緑豆、trái câyは果物という意味です。写真は、緑豆あんをマンゴーやマンカウ(釈迦頭、シュガーアップル)にかたちづくり色づけをしているところです。
完成したものをみせていただきました。手のひらにコロンと乗るくらいのミニサイズで、鮮やかなピンク色のドラゴンフルーツ、左上のパパイア、赤色のマンゴスチンに、マンゴーとマンカウです。庭に木の葉を摘みにいき飾りにつけて、色とりどりの艶やかな緑豆あんのフルーツです。もともと、フエ王宮由来の伝統あるお菓子になるそうです。日本の和菓子のようにみずみずしい季節のひとときを思い出させてくれます。
これは、柿とドラゴンフルーツです。柿(Hồng)はダラットの特産品のひとつです。生食用や干し柿にして売られています。
緑豆あんを成形し竹串にさして着色をしたら、鍋に満たした生米にさして乾燥させます。色づけには、フランス製の絵筆と食用の染料をつかっています。このとき、フランス製の筆が美しく仕上がるとおばさんはおっしゃっていました。
仕上げに海藻由来のアガー液にくぐらせます。緑豆はほろほろと崩れやすいのでアガーで固めてツヤを出します。
青りんご、水レンブ、ドラゴンフルーツ…。カラフルで目にも美しく、ぷるんとしたみずみずしさにほのかな甘い香りが広がります。緑豆あんは甘さ控えめで上品な味です。
ディスプレイ用に飾りつけをしています。てっぺんには白桃が飾られて、ベトナムの南国フルーツタワーができあがりました。
セロファンとリボンでラッピングをして、これから、結婚式のお祝いの場に届けられるそうです。
緑豆あんのフルーツは、もっと小さなミニチュア版があったり、屋台でストリートフードのように売られていたりもします。伝統のお菓子は気品があり遊び心もありビタミンカラーに心がわくわくしてきます。街中や市場でみつけることができると思います。
取材協力:Oanhさん