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VOL.210 ジャライ民族の村にて Ayun pa – Ia pa(ザライ省)

release : category : ベトナム〜おいしい散歩〜

ベトナム中部高原、ザライ省のAyun pa(アズンパ)近郊にあるジャライ民族の村を訪問しました。アズンパの風景アズンパ市場から、車で10分ほどのIa pa district(郡)に向かいました。

ジャライ民族は、オーストロネシア語系の母系社会(母から娘へと系譜が連なる社会)です。中部高原のザライ省に多く暮らしています。

 
Ia pa(イアパ) 地図: Ia paの左隣にAyun paがあります。左上はザライ省省都のPleiku(プレイク)です。中部高原の広々とした農の風景と自然の豊かさと、少数民族の村の伝統的な暮らしがあります。

 

©yukiko aoki

ジャライ民族の高床式の木造の家に訪問しました。1階は壁のない吹き抜けで農耕具置き場や家畜が過ごすスペースになっています。階段をのぼり薄暗い室内に入ると、竹製の壁掛け(タペストリー)が、美しく浮かび上がるように飾られていました。

「この模様をみれば、ジャライ族だとわかります。」出迎えてくれた住人のNaお父さんが教えてくれました。竹をナイフで細長く整えて手で編んでいます。模様の部分に黒い染料をつかいますが、昔は草木で染めていたそうです。

 

©yukiko aoki

ジャライ民族の家とNaお父さんとお母さんです。
あたたかい瞳で迎えてくれました。中部高原の穏やかな太陽と風のような優しさで、思い出に残るご夫婦です。Naお父さんのタペストリーは、Ayun paの自然のリズムと伝統的な暮らしをシンボリックに表しているような気がします。神秘的で心が温かくなるタペストリーです。

 

©yukiko aoki

背負かごもNaお父さんが編みました。この背負かごのデザインは、ザライ省の市場や他の村でもみかけます。ジャライ民族のものだとすぐにわかります。

お母さんに織物についてたずねました。織物は昔はしていたそうです。村のなかで今も織る人はいますが、畑の仕事があるので、雨が降る日に織るそうです。

 

©yukiko aoki

ジャライ族の模様入りのざると草刈り鎌です。
手のひらに乗せると、鳥の羽のように軽くて驚きました。底の部分が丸くてしっくりと手に馴染みました。

 

©yukiko aoki

ベトナム中部高原のゴング文化の銅鑼(ドラ)です。Naお父さんはたくさん持っているそうです(村の中で尊重され財力もある証)。竿などに吊り下げて、棒でたたきます。お祭りや儀礼、お葬式でつかいます。

「ベトナム中部高原におけるゴングの文化的空間」- Space of Gong Culture- は、ユネスコ無形文化財に登録されています。文末にユネスコの動画リンクを貼りました。ゴングの音色は、中部高原の山岳に暮らす多様な民族のそれぞれの文化伝統の言い伝えや物語に密接に関わっているようです。

 

©yukiko aoki

Naお父さんの親戚の女の子が、あいさつに来てくれて、牛の世話で村の田んぼへと出かけていきました。背負いかごには、ペットボトルの水とりんごが1つ入っていました。

次回は、ジャライ民族の台所をご紹介します。

 
取材協力:ジャライ民族の村訪問に際して、大恩寺(ベトナム寺院)ティック・タム・チーご住職にご紹介いただきました。お兄様のHienさんに村の案内をしていただきました。

 
フォトグラファー 青木由希子
 
 

 

The Space of Gong Culture(UNESCO)

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