ベトナムレストラン ピーフォー水牛を農家などに貸し出す仕事をしているDương Thiểm（ドゥン・ヒェン）おじいちゃんは、農家の長男としてベトナム中部にあるフエに生まれました。四姉妹の中に男一人だったので、跡取りとして大切に育てられて小学校に通うことができました。
青年時代には、フエは二毛作のところが多いので、農閑期（3〜4ヶ月）にベトナム南部のメコンデルタまで出稼ぎに行くこともありました。ベトナム戦争がはじまると、おじいちゃんは南ベトナムの兵士になりました。小学校を出ていて読み書きができたので、看護師として軍隊に配属されました。でも、おじいちゃんは戦争をするのが嫌で、何度もフエの軍隊を脱走しました。
ある日、南ベトナム軍の車が来て、兵士が足らないからと、サイゴンまで連れて行かれてしまいました。遠いフエまで戻ることはできずに戦うしかありませんでした。のちに軍から功績をたたえられ星のバッチをもらって昇進する話があったけれど、戦争は嫌だし、何より、長男として家を継いで子孫を残すために故郷に戻ることを決めました。
ベトナム戦争は、南ベトナム軍とベトコンが地上戦で敵なのか味方なのか見極めることが困難な戦いでもありました。結婚したおじいちゃんは村に住んでいる家族のことも心配でした。
おじいちゃんと出会って、はじめて昔話を聞きました。おじいちゃんの目の奥に映し出された風景に少しでも心を寄せられたら…と思いました。またおじゃましていろんな話を聞きたいと思います。
(c)yukiko aoki 家族の繁栄を願って銅鑼の音を響かせる Dương Thiểm（ドゥン・ヒェン）おじいちゃん。
(c)yukiko aoki おじいちゃんのお孫さんたち。
