ベトナム中部フエにあるディエンロック村の共同農園にいきました。田んぼと畑の風景に惹かれて、数年前から、写真を撮りはじめています。
ディエンロック村は、ベトナムで最も広いといわれるTam Giang-Cầu Haiラグーン(*)と南シナ海につながるフエ北部フォンディエン地区にあります。
ディエンロック村の地図:Xã Điền Lộc, Huyện Phong Điền, Tỉnh Thừa Thiên Huế
(*)Tam Giang-Cầu Hai(タム・ジャン-カウ・ハイ)ラグーンとは、トゥアティエン・フエ省沿岸地域につながるラグーン(5つの潟湖)の総称です。ディエンロック村には、オーロウ川が流れており、川の水はTam Giangラグーンにそそがれています。
ある夏の日、通りすがりに黄金色に穂を垂れる一反ほどの田んぼに、枯れてゆく蓮の姿をみつけました。水田であり蓮池でもあるユニークな風景に興味を持ちました。
数ヶ月前には、青田が風にゆられるなか蓮花が咲き、結実すれば蓮の実を採っていたと思います。蓮の実といえば、おこわや蓮の実のチェー、葉はお茶にしたり、おこわを蒸すときに包んで香りをうつしたりします。蓮根や茎は漬けものにします。
一反ごと種類の異なる稲が育てられています。背丈が高いもの低いものまだ青い稲もあります。風がそよぎ、田んぼをくぐり抜けてくる清々しい香りに癒されます。
畝ごとにさまざまな野菜を育てています。畝と水路が交互にあるのは、フエでみかける農風景のひとつです。雨季は洪水で水たまりになることが多く畑の水はけをよくしています。また、乾季に土の乾燥を守り水路から水をまくこともできます。
竹製の柵(さく)に、黒い網をかけています。木陰をつくりコリアンダーを育てています。水路には水草が浮かんでいます。
収穫を迎えるころの田んぼと畦。草はのびたままで青々としています。
畑では、からし菜やレタス、アマランサスの赤い葉(ひゆ菜)にコリアンダー、緑豆やつる性のゴーヤにカボチャ、タロイモなど根菜も栽培しています。
アマランサスの赤い葉は、日本であまりみかけませんが、フエでは、エビ入りのスープやお浸しにして食べています。
アメンボのような水生昆虫や魚が泳いでいます。農園の水まわりや草むらにも心を寄せていくと、小さな生きものたちの気配を感じます。
農園のおじさんが畑仕事を終えて、鍬とバケツを持って道にでてきました。きれいな農園ですねと話しかけると、この畑は無農薬栽培だよと教えてくれました。
これから川まで魚釣りに出掛けるそうです。バケツには、魚のエサにするミミズが入っていました。
ミミズは畑のなかで食べるものを探すので、土をかき混ぜてくれて空気と水がめぐるようになり、微生物が増えてふかふかの土になります。
おじさんの自転車には、エコボトルがぶらさがっていました。プラスティックよりも環境にやさしいグラスのエコボトルでした。
晴れやかな空のもと、自転車に乗ってさっそうと出掛けていきました。