旧正月のころに訪ねたディエンロック村にて。
フエ北部、沿岸地域にある人と自然のいとなみが清らかなハーモニーを感じられる農村です。
*一年ほど前の乾季が終わるころの風景は、 ディエンロック村にて-1 に書きました。
ディエンロック村の共同農園に青トウガラシ畑が広がっていました。青トウガラシが育てられている高い畝の端に、土を低く盛りネギも栽培しています。水路から長靴を履いて作業をするのですが、畝に段差があると作物の様子がわかり、日あたりと風通しもよくなります。なるほど、と思いました。右側の畝には、オリエンタルなあまい香りのするベトナムバジルが栽培されています。
とても静かな朝でした。田んぼや畑におだやかな太陽の光がそそがれ、水はきれいに澄んでいて鏡のようでした。
平畝の畑には、からし菜やレタス、コリアンダーなどが栽培されています。トンボで土ならしをしていました。奥にみえるトウガラシ畑には稲藁(いねわら)を敷きつめて防寒対策をしています。旧正月のころはまだ寒い日もあります。
種とり用だと思いますが、なんの野菜でしょう。莢(さや)は丸くふくらみ、種の重みで茎が地面にたわんできています。
青菜畑に、竹を組んで棚がつくられていました。竹の葉のついた細枝もそのまま天板にしています。きゅうりのツルが支柱をとらえて天板までのぼってきていました。これから野菜が育っていく風景を思うと、とても楽しみです。
畑のまわりには、いくつもの草花が咲いていました。日本にツユクサという青い花がありますが、うすい水色の花Rau trai/Thài lài trắng(同じツユクサの仲間)が咲いていて、小さな花をたくさんつけるVòi voi(ヴォイ・ヴォイ)には、ルリマダラ、アサギマダラと思われる蝶(ちょう)が蜜を吸いにきていました。花から花へとひらひらと軽やかに舞う姿は、メロディを奏でているようにもみえます。蜜をもとめ、花粉を身にまとった虫たちは、移動しながら農作物の受粉を助けてくれます。
フォトグラファー 青木由希子