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極上のアートブック。台湾の装飾タイル図鑑。

release : category : サイゴンノオト

シンチャオ!サイゴンノオトのわん吉です。

 

台湾で、宝物のような一冊に出会ってしまいました。

爿爿花(パンパンフア)による「台灣傳統瓷磚圖鑑」(台湾伝統タイル図鑑)。

台湾の若手グラフィックデザイナー2人が制作した、台湾装飾タイルのアートブックです。

 

 

布張りの背表紙に、表紙にはタイルモチーフのエンボスプレスという装丁。約300ページのずっしりとした重み。職人さんの手で一冊一冊丁寧に作られたであろうことが伝わってきます。

 

 

美しいアートブック。台湾の若手デザイナーが心をこめて制作した一冊。

厚い表紙をめくると、表紙裏は一面のタイル模様。さらにめくると目次が現れました。

 

 

本の前半部分は、台湾各地で見つけた装飾タイルを紹介しています。台湾でタイル文化が花開いた1920~1980年代。その時代に多く見られたマジョリカタイル、レンガタイル、モザイクタイル、プリントタイルの4種類を取り上げ、それぞれの美しい写真を贅沢に載せています。

 

 

ページをめくるたびに現れるきれいな色と模様。ときめきが止まりません。ページの片隅には図案も掲載されています。

 

 

台湾の古い家に見られる装飾タイル。古い建物の取り壊しが進み、残念ながらタイルの姿も消えつつあります。そうしたタイルを記録に留め、将来につながるように制作された貴重な一冊です。

 

 

タイルパターンをグラフィックデザインの観点から図案化。デザイナーが手がけた本ならではの、クオリティの高いコンテンツです。

 

 

 

デジタル化した100種類のタイルパターンを掲載

本の後半部分はタイルパターンをデジタルで再現。色鮮やかで美しいカタログのような仕上がりです。

 

 

見開きでひとつのパターンを紹介。右ページはデジタル化したタイルパターン、左ページはタイルに使われている色をパントーンの色番号で表示、図案も掲載しています。パターンは100種類という贅沢さ。

 

 

美しくて、パラパラめくっているだけで満足。

 

 

 

この本と同時に、タイルパターンの見本帳も制作されました。カラー見本のようで実にきれいです。

 

 

 

「爿爿花(パンパンフア)」の2人が伝統タイル図鑑に込めた思い。

さて、この美しい本を作ったのは、制作ユニット「爿爿花(パンパンフア)」の湯晴雯(タン)さんと黎世堯(リ)さん。国立台湾師範大学デザイン学部の同級生コンビです。卒業論文のテーマに「台湾の伝統タイル」を選んだことがきっかけでした。

お二人へのインタビューもぜひご覧ください。写真左が黎さん、右が湯さんです。

 

 

-どうしてタイルに興味を持ったのですか?

大学のそばに古い家がありました。どこにでもある普通の家でしたが、外壁を覆っていたモザイクタイルに惹かれてしまったのです。まるで雨のようでした。1階と2階の間には違う色のモザイクがあり、それは帯のように見えました。タイルの装飾によってその家がほかにはない魅力を放っていて、素晴らしいなと感じたのです。

 

 

タイルは台湾人にとって昔の家の懐かしい思い出です。私の祖母の家もそうでしたが、浴室や洗面所に五彩石のモザイクタイルが使われていました。私が今住んでいる家にも、昔よく見かけた黄色い花模様のタイルがあります。タイルは子どもの頃に見ていた家の光景の一部で、台湾人にとって心のふるさとと言えるかもしれません。

 

 

 

-この本はどのような内容ですか?

1920〜1980年代に製造された台湾の伝統タイルから、マジョリカタイル(馬約利卡磚)、レンガタイル(面磚)、モザイクタイル(馬實克磚)、プリントタイル(印花磚)の4種類を取り上げています。

マジョリカタイルは日本統治時代の庭つき家によく見られました。関東大地震以降よく使われるようになった角形タイル。モザイクタイルやプリントタイルは1950年代に現れ、台湾の工業発展とともに建築に使われるようになりました。

金門、鶯歌、北投、南投、苗栗など、50カ所以上の町や村に古いタイルを探しに行きました。ポケモンGOをやっているみたいで楽しかったです!写真も1000枚以上撮りました。

装飾タイルを発見するたびに、こんなにタイルの種類があるんだと驚かされました。

 

 

本の前半では、台湾の伝統タイルの歴史を紹介し、各地で撮影した写真や、タイルのビジュアルデザインの説明を載せています。後半では、私たちがデジタルパターンにおこしたタイル模様を100種類取り上げ、パントーンカラーの色番号と紐づけています。

伝統タイルに関する情報を豊富に盛り込みつつ、デザインの実用性もある一冊です。エレガントな装丁で仕上げ、この本の価値をより高めることができました。

 

 

 

-この本を作ろうと思った理由は?

装飾タイルは台湾の歴史や文化や美意識を反映していると思います。私たち台湾人にとって貴重な文化遺産です。

でも時代のニーズに合わなくなり、タイルは生産されなくなってしまいました。今では古い建物にしか美しいタイルを見ることができません。都市開発によって古い建物も取り壊され、貴重なタイルは姿を消しつつあります。

残念なことに、タイルの製造情報やデザイン図案の記録は、タイル工場にも建築素材メーカーにも残されていません。将来またタイルを作りたいと思っても、作るのが難しくなってしまうでしょう。

この本にあるタイルパターンは、この本からの引用であることを明記してもらえれば、個人または商用での利用が可能です。さまざまなクリエイターがタイル図案を新しい形で再利用すれば、伝統タイルの精神と価値を継続できると考えています。

 

 

 

-これからはどんなことをしていきたいですか?

私たちがデジタル図案化したタイルパターンを使って、いろいろなブランドやクリエイターとコラボしていきたいです。伝統タイルがさまざまな形で将来に受け継がれていったらとてもうれしいです。

近い将来、この本で紹介したタイルパターンをシェアできるオンラインデータベースを作る計画です。そこでいろんな人が装飾タイルの写真をアップロードしていけば、今以上にタイルの形やパターンを記録していくことができます。そうして台湾の伝統タイルのデータベースをより豊かで完全なものにしていきたいと考えているのです。

 

 

 

+++++爿爿花(パンパンフア)について+++++

 

湯さんと黎さんによる制作ユニット「爿爿花(パンパンフア)」。「一枚一枚の小さなタイルが壁の上に花ひらく」の意味。

爿爿花 Facebook ==> https://www.facebook.com/panpanhua

爿爿花 Instagram ==> https://www.instagram.com/panpanhua_taiwan/

 

 

+++++爿爿花による「台灣傳統瓷磚圖鑑」の購入について+++++

 

今回ご紹介した爿爿花の「台灣傳統瓷磚圖鑑」は以下のオンラインで販売しています。ぜひ手にとっていただきたい一冊です。

https://www.pinkoi.com/store/panpanhua

 

 

+++++わん吉から最後にひと言+++++

 

湯さんと黎さんの2人は大学卒業後、卒業論文で制作したこの図鑑の原型を出版社に持っていったのですが、出版に至りませんでした。そして6年が経った去年、友人の勧めもありクラウドファンディングで出版資金を募集することにしたのです。すると1794人からの支援が集まり、結果2500冊を作ることができたそうです。

Facebookでこの本の存在を知ってから、ずっと見てみたいなと思っていました。その後、湯さんと黎さんの2人にお会いして、初めてこの本を手に取った時、なんだか感動してしまったんです。いろんな人の思いと希望が詰まった本なんだなぁと。

台湾の人たちの心のふるさとでもあり、生活を彩ってきた伝統タイル。ぜひ日本の皆さんにも見ていただけたらと思っています。

 

深坑老街の古い建物に見つけたかわいいマジョリカタイル。わかるかな?