前回のつづきでザライ省クロン・パ地区にあるChợ phú túc(フー・トゥック市場)からです。
朝ごはんを食べてから、フー・トゥック市場周辺を歩きました。路面市場のようになっていて野菜や果物が少しずつ並んでいます。少数民族の女性や親子が村から下りてきて家の庭や村の畑で採れたものを販売しています。
朝のひかりがすっと差し込んできているところに、赤紫色のふくよかなバナナのつぼみが美しかったです。ベトナムの太めのきゅうりや葉野菜Rau đayも朝露をまとっているかのような優しい色をしていました。
*Rau đay(ラウ・ダイ)は、モロヘイヤの仲間になるそうです。茹でたり刻んだりするとぬめりがでてきて、主にスープにして食べます。ベトナムは茎の色が赤いですね。
青いバナナに苦い小粒の丸茄子(Cà đắng/カー・ダン)にアダンの実のような丸い果実。長細いさやいんげんや薬効のあるアマメシバ(Rau ngót/ラウ・ゴット)など。
*苦い茄子(Cà đắng)は、小さな丸茄子(Cà pháo)よりも小粒で、そのまま食べるととても苦く豚肉の煮込みなどにすると苦味はなくなるそうです。
太陽がのぼり輝きを増してきました。市場は買い物のやりとりでにぎやかです。なぜかヘルメットをしたまま商いをしている人が多くて気になりましたが、手際よく森のたけのこをスライスしていました。
写真右の抱きかかえられた大きな実は、ベトナムでMit(ミッ)とよばれるジャックフルーツです。未熟は白い果肉て炒めものやサラダにして、完熟すると黄色になってフルーティーな甘い香りがします。ドライフルーツにして歯ごたえのよいスナックにもなります。
小粒で丸みあるシジミに似た貝でした。この市場でよく見かけたので地元の名産なのかもしれません。となりのリュウガンも小粒でおいしそうです。
赤紫の小さな丸茄子を一粒ずつ丁寧に選んで袋に入れていました。買い物をしている横顔がうれしそうでした。
*小さな丸茄子(Cà pháo/カー・ファオ)は、白・紫・緑があり漬物にします。日本にはない味で、酸味としょっぱさと小茄子の皮のぽりっとした歯ごたえが後を引きます。
長茄子にミニトマトにきゅうり。少しずつ色や形が日本のものとちがいます。ベトナムの市場にくると野菜にもいろんな種があり、土地に合ったものが受け継がれているのを感じます。
ベトナムの大根です。日本よりも小ぶりでかためです。バインミーやバインセオに欠かせないベトナムの甘酢漬けĐồ chua(ド・チュア)には、パパイヤか大根、にんじんをつかいます。汁麺のトッピングに厚切りの煮大根がでてきて食べたことがあるのですが、大根に牛骨などのダシがよく沁みていて、ほろっととろけるくらいにやわらかくておいしかったです。
親子できているところにカメラを向けると恥ずかしそうにしていました。パステルグリーンのMãng cầu(マンカウ)という果物を売っていました。日本名は、お釈迦様の頭に似ているので釈迦頭(しゃかとう)ともいわれます。熟すと手で割ることもできて白くてクリーミーな果肉をほおばります。つるんとした丸い黒い種があります。
青いバナナとタケノコを発酵させた(Măng chua/マンチュア)を売っていたお母さんと子ども。小さな子はまだ眠たそうな顔でフランスパンのやわらかいところをちぎって食べていました。白いシートの半分はからっぽだったので、もう少しで完売です。
背負いかごに入れてバナナを売りにきていました。照れたときの仕草まで似ていた姉妹。
素敵な笑顔に惹かれて写真を撮りました。葉野菜を売っていて、どこかで見たことのある特徴のある葉は、友人に教わって、キャッサバ(タピオカ芋)というのがわかりました。芋は食べられるように下処理をして、ベトナム各地で郷土料理からおやつまで様々につかわれますが、葉が食べられるとは知りませんでした。
Rau sắn (Lá khoai mì)/キャッサバの野菜(タピオカ芋の葉)といいます。塩漬けの漬物や、サラダのようなあえものにするそうです。身体にもいい効果があるようです。
ザライ省はキャッサバ(タピオカ芋)の名産地としても知られます。どのような郷土料理があるのでしょう。ベトナムに行けるようになったら、食をたずねる旅をしてみたいと思います。
取材協力:Nhà Tokyo,Chùa Đại Ân(大恩寺) 野菜の名前などの情報提供をいただきました。