ザライ省から南下してダックラック省へ。旅のかけら-7(☆)のつづきです。ダックラック省はベトナムの中部高原地方(Tây Nguyên/ターイグエン)にあり、ラオスとカンボジアに接する山岳地帯にさまざまな少数民族が暮らしています。主に、1975年のベトナム統一以降は、政策により、キン族(ベト族)が移り住むようにもなりました。ダックラック省は、農業が盛んで世界有数のバンメートートのコーヒーに、コショウ、天然ゴム、カシューナッツなどの産地で知られています。
コショウ農園の風景。中部高原にいると山と空が近く感じました。ダックラック省の海抜は500~1200mほどあるそうです。
コショウはつる性の植物で、支柱にまきつけるようにしています。コンパニオンプランツのように
すぐそばで、とうもろこしも育てられています。
コショウの花をはじめてみました。穂状に咲くユニークでとても小さい白い花でした。
葉のすき間から、ぶどうのように緑色の実がなっているのがコショウです。
コショウの種類について調べてみると、黒コショウは、未熟の緑色の実を摘み、そのまま天日乾燥させます。白コショウは、完熟した赤い実を摘み、水に浸して外皮をとりのぞき乾燥させたものです。グリーンコショウ、ピンクコショウも摘みとる時期や加工方法によってつくられるそうです。
子どもたちが畑で遊んでいました。素足に草のじゅうたんが気持ちよさそうでした。
コショウのつるや葉が支柱をおおい茂ると深い森のなかを歩いているようでした。コショウの木のかげから、子どもたちが現れて笑顔いっぱいに出迎えてくれました。この子たちのおじいさんとおばあさんの代がフエから移住してきて、農園を開きました。
この木は、Vả(ヴァ)といいフエから運ばれてきました。フエだけにある渋みのある果実で生のスライスはあえものや生春巻きにいれたり、ゆでるとほくほくした独特な歯ごたえになり精進料理にも使われたりします。
お母さんと子どもたちが、庭でコショウの苗木づくりをしています。子どもたちは土遊びをしながらもきちんと家の手伝いをします。
おばあさんから、フエから来たあなたをみていたら、フエのチャンティン橋を思い出すわ。と涙を浮かべておっしゃっていました。故郷を思う気持ちにジーンときました。
コショウ農園から道にでると、少数民族の女性と子どもたちが牛の放牧から帰ってくるところでした。
この通りは、天然のゴムの木が植えられています。木漏れ日がきれいでした。
ゴムの原料を採取しています。ゴムの木の皮をななめに削り白い樹液(ラテックス)がでてくるのを容器に集めています。
天然のゴム林をゆっくり歩く少数民族の牛飼いと牛たち。山岳に暮らす少数民族に心を寄せると、昔ながらの焼き畑農業を禁止されたり農地開発があったり複雑な気持ちになります。旅の途中に垣間みた光景は忘れられないです。