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VOL.186 雑感

release : category : ベトナム〜おいしい散歩〜

丑年から寅年へ。旧暦では、もうすぐTân Sửu(辛丑) が終わります。フエのTam Giangラグーン地域で撮影をした子牛のことを思い出しました(VOL.173)。それから2年が経ち無垢な瞳をした子牛も成長して大きくなったことでしょう。

 

©yukiko aoki

Tam Giangラグーン地域ディエンロック村にて。あぜ道にかわいい白い花をみつけてカメラに収めました。

この村の共同農園は無農薬栽培をしていて、さまざまな草花が咲き季節の移ろいを感じさせてくれます。フエの水はあまくて香りのいい野菜がとれるといわれていて、ちょうど今、旧正月「テト」を迎えるための野菜の出荷に忙しくしているころだと思います。

 

©yukiko aoki

うす紫色の小さな花がつらなるCây vòi voiにアサギマダラがとまっていました。この花は、私はチョウに人気があるのではと密かに思っています。旅先で同じような光景をたまにみかけます。

 

©yukiko aoki

ベトナム中南部沿岸地域ニントゥアン省にあるチャム民族の村にて。ルリマダラの仲間のチョウがひらひらと舞いおりてCây vòi voiの花の蜜をもとめにきていました。

チャム民族の村では Phun crom munという名で呼ばれていて、お茶にして飲んだりお酒に浸して塗り薬にしたりします。膝痛や腫れ、腰痛やギックリ腰、捻挫にもいいそうです。この草花は、ベトナムで広く薬草として知られているようです。

*草花の名と効能については、チャム民族の村で教わりました。フエのディエンロック村でよく似ていると思いCây vòi voiとご紹介しました。

 

©yukiko aoki

Tam Giangラグーンにつながる沼地で田うなぎをとっているのをみかけました。泥水のなかに手さぐりで田うなぎを探して捕まえます。ラグーン地域ではさまざまな生きもののつながり(食物連鎖)があり、水辺の生物多様性の豊かさは、村の伝統的な習慣や郷土料理となり育まれてきました。ベトナムで料理がおいしいと感じるのは自然のすばらしさにあると改めて思います。

 

©yukiko aoki

これは、2014年のころの水田です。ベトナムの丑年は、水牛(Sửu)に置きかえられていますが、年々、農業の機械化がすすみ田畑で働く水牛は少なくなってきています。2022年は寅年になり、ベトナムでは野生のトラはわずか5頭以下に激減しています(2016年)。密猟や売買、生息地の自然森林の損失などが原因です。

*SAVE VIETNAM’S WILDLIFE 英語 ()とWWF JAPAN 日本語 ()のリンクをご紹介します。

 

©yukiko aoki

地産地消の市場にて。村のごちそうが並んでいます。目の前にひろがる風景をいただけるのは、やはり格別においしいです。足元に咲く花やチョウたちのいとなみや村人の丁寧な暮らしがあるからこそ。心あらたにみつめていきたいと思います。

 
 
フォトグラファー 青木由希子