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VOL.199 Bánh hạt sen 白インゲンの蓮の実のお菓子

release : category : ベトナム〜おいしい散歩〜

Bánh đậu xanh trái cây「緑豆あんのフルーツ」がつくられていた工房()に再び訪れると、蓮の実をかたどったお菓子をつくっているところでした。

中部高原ダラットの薄曇りのやさしい光がそそぐ工房にて。大きな平ざるの上に布を広げ、つくりたての蓮の実のお菓子を紅白のうす紙に包んでいます。

 

©yukiko aoki

蓮の実のお菓子は、Bánh hạt senと呼んだり、Kẹo hạt senと呼んだりします。Bánhは粉もので、Hạt senは蓮の実で、Kẹoは飴菓子のことをいいます。緑豆(Đậu xanh)でつくる方法もありますが、ここでは、小さな白インゲン豆(Đậu trắng)でつくります。日本の手亡豆に近いと思います。和菓子の白餡にもつかわれる豆です。

 

©yukiko aoki

蒸した白インゲン豆と砂糖を1対1の割合で混ぜ合わせ、蓮の実サイズに丸め、盆ざるの上に並べます。盆ざるの下の段ボールの中には火鉢が置かれていて、蓮の実は燻されて乾燥します。白インゲンの上品な香りが立ち上り、工房は甘くて香ばしいかおりに包まれます。

 

©yukiko aoki

表面が乾燥してひび割れてくると蓮の実のようにみえます。盆ざるの上で蓮の実はゆっくりまんべんなく燻されます。

 

©yukiko aoki

出来上がりをうちわであおいで冷ましてから、一粒ずつ包みます。

 

©yukiko aoki

蓮の実のお菓子の包み紙には、両縁に細い切り込みがたくさん入っています。蓮の実のお菓子をくるみ、うす紙の切り込み部分をひねるとフリンジのような飾りになります。蓮の実のお菓子はかわいらしさを増して、目にもうつくしいお菓子です。これもフエ由来の伝統のお茶菓子です。一粒を口にふくむとほろりと口溶けよく、蓮の実の高貴なかおりが広がっていくようです。

 
 
取材協力:Oanhさん

 
 
フォトグラファー 青木由希子