久しぶりにベトナムの旅へ。5月上旬から1ヶ月ほどですが、3年振りにいきました。主な滞在先は、中部地方のトゥアティエン-フエ省と南中部沿岸地域のニントゥアン省です。途中、中部高原にあるダクラク省とザライ省にも立ち寄りました。
海と山と川と青い空と風とつながり、さまざまな気候や風土に触れつつ、行く先々では、稲作の種まきのシーズンを迎えていました。場所によりますが、早春にまいた種籾がみのり収穫され、再び、田んぼは整えられて、二期作に入るところでした。
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ニントゥアン省のフクニョン村に住む友人から、村で昔ながらの田んぼの種まきをするので、写真を撮りにきませんか?と誘っていただきました。
「私の田んぼでとれたお米を発芽させました」と、種籾をみせてもらいました。籾から白い髭のようなものがでています。
籾つきの米を袋に入れて、田んぼの水路に浸水して、畔にあげてを繰り返して発芽させます。
田んぼの土を起こして水を引き、2頭の牛に、田んぼを平にならすための丸太や馬鍬を引いてもらいます。日中はとても暑いので、日の出とともにはじまりました。朝焼けのオレンジ色の太陽は田んぼにも映し出されて、牛たちが力強く歩むと、水しぶきと粘りのある泥の音がきこえます。
田んぼをならしたあと溝がつくられます。これは、種籾が水に溺れないためだそうです。小さな種がしっかり根をはれるよう、ひと手間かけることを知りました。
いよいよ種まきをします。村の人たちは、バスケットに入れた種籾をしっかりにぎりしめて、歩きながら、いきおいをつけて放ちます。種は広がってまんべんなく地面に落ちます。
溝に水が溜まるので、種籾は流れることなく土に根をはることができそうです。
フクニョン村(チャム民族のチャム・バニの村)の田んぼの風景です。村でお互いに助け合いながら、お米を育てています。今回、友人の村を訪ねましたが、家族を養うために街の中心にある日本企業で働きながら、田んぼを維持しつつ、家族が食べるお米の種をつないでいることに深く感動しました。
撮影協力:Tamさん
フォトグラファー 青木由希子