今、ベトナムにきています。昨年の旧正月のころに、中部高原コントゥム省のバナ民族の村では、Nhà Rông(ニャー・ロン)という高床式の茅葺き屋根の家を建てていました(☆)。
2024年2月撮影
木材でつくられた基礎に竹を籐で結えてつなげた骨組みのNhà Rông(ニャー・ロン)。
村の集会場になります。ここから2週間ほどで完成するときいていました。
2025年5月再訪
今回のベトナムの旅で立ち寄ることができました。稲刈りのシーズンのため、村人は田んぼに出かけていていなかったのですが、Nhà Rông(ニャー・ロン)の完成をみることができました。中部高原のみずいろの空とたおやかな朝の光を受けて美しかったです。
ここは、コントゥム省のコンジョリー村です。昔ながらの暮らしを継承しています。
茅葺き屋根のトップカバーに民族の文様が織りなされています。中央のかすれた図柄は、Rượu cần(ルオウ・カン)壺酒です。ストローでお酒を飲み交わしています。客人が訪れたときにもてなすときいたことがありました。
※バナ族のコンジョリー村を訪問する前に、エデ族(ダクラク省)の木造家屋に滞在した際にいただいた壺酒は、昔からのならわしで紐で大きな柱に巻きつけていました。
昨年の話になりますが、建設時のコンジョリー村のNhà Rông(ニャー・ロン)の柱に壺酒が描かれていたのを思い出します。上から6,7番目の写真です(⭐︎)。
壺酒は伝統・風習の中で最も大切なものなのだと思います。
丸太をくり抜いてつくられた階段。
横からみると茅葺き屋根の傾斜に圧倒されます。村人が竹の格子を登って、屋根を葺きました。
竹小舞のような壁は時間と共にしなやかな風合いがでていました。Nhà Rông(ニャー・ロン)の基礎は前代の木材を活かして釘をつかわずに組み立てています。家を守ってくれるヤモリをみつけました。
壁の隙間から、Cây nêu(カイネウ)が収められているのがわかりました。旧正月など祭りごとに掲げられる大切なものです。
2024年旧正月のころに撮影をしたCây nêu(カイネウ)は、竹でできています。
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村に入ると伝統家屋に囲まれた広い庭があり、鶏が稲穂からこぼれた籾をついばんでいます。
藁はふかふかで心地よさそうです。稲刈りのシーズンはこぼれた籾を鶏やアヒルがついばみ、水牛たちも食べて、村のいたるところで実りをわかちあう農の風景に出会います。
番犬が走ってきました。よく吠えられました。
高床式の赤い土壁の家と平屋がありました。2階建ての家もあります。
キャッサバ芋の枝が立てかけられていました。おそらく、竹垣のようにつかうのではと思います。
集会場の広場にタマリンドの大きな古木がありますが、村にはさまざまな木が植えられていました。
庭先で脱穀した籾の天日干しをしていました。籾かきをして均一に乾燥させます。
シートに広げられた手前の籾と隣りの籾は、長粒種の2種だそうです。
竹製の平ざるにゆすられる籾の音がきこえてきます。
ざるをまわしたり、籾が舞うようにゆすったりして選りわけています。
手で不純物を取りのぞきます。
きれいな籾を天日干しにして仕上げます。こがね色の庭の風景に感動します。気候や品種によって違いはあるけれど、甘くて美味しいお米ができたと教えてくださいました。