(VOL.157)のつづきです。
村の祠(ほこら)を見上げると、屋根に「瑞獣(ずいじゅう)」のモザイク装飾されたレリーフがありました。瑞獣は縁起をよぶ架空の動物ですが、白地のレリーフに緑や茶のガラス瓶や陶磁器のかけらがはめ込まれていました。
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これは、しあわせと繁栄のきざしを告げる霊鳥、「鳳凰(ほうおう)」です。
陽の光が差し込んでくると、鳳凰は明るく輝きはじめて、今にも飛び立っていきそうです。
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天地を行き来し、天の神々に会いに昇ることのできる「龍(竜)」です。ベトナム建築の装飾に最も多くみられる瑞獣です。
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川辺の祭壇の屋根にも龍はいました。
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祭壇には、線香・花・びんろう・酒・茶に、緑豆のおこわ、果物(バナナ)、冥器(めいき)というお供え用の薄紙でつくられたアオザイに、米が置いてあります。
軒下に描かれているザクロの実や鹿の風景の絵巻物、金色の彫り物でコウモリと思われる装飾をみていると、村の人々が広く深く自然を尊び、暮らしてきていることに気がつきます。
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祠の神様にささげた牛肉を部位ごとにさばいています。今年の豊作を祝うため、みなで食事をしたり、家族に持ち帰ったりします。
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Va(ヴァ)というフエの野菜に、茹でた牛肉、ヌックマム、クラッシュピーナッツの調味料、唐辛子味噌などを小皿に用意しています。
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ゴザを広げ、緑豆のおこわを並べて準備をしています。
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祠から川のほとりに降りて、包丁や箸などの調理道具を洗っています。水道水もありますが、昔ながらの川の水をつかう暮らしがありました。川面に波の輪が起きてはゆっくりと広がっていきます。
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木漏れ日が時折りゆれる、村の祠の広場にて。