バウチュック陶器村の伝統の陶器づくりに、ユニークなところがあります。それは、土をこねてから成形するときに、轆轤(ろくろ)は使わずつくり手が作業台を中心にくるくるとまわりながら形をつくっていくところです。詳しくは、他の工房で撮影したものですが、こちらをご覧ください(Vol.96)。
バウチュック陶器村の多くの世帯が陶器づくりに携わっており、村にはいくつもの工房があります。
Sông Quao クワオ川(Vol.163)の案内をしてくれたTiênさんの工房を訪ねました。
主に、村の女性たちが陶器をつくっています。ちょうど、工房で大きな植木鉢や花瓶にデザインを入れているところでした。陶器の模様にはそれぞれ意味があり、自然にちなんだものが多いのだそうです。素朴でゆるやかな美しい曲線に、焼成後の赤い土色には、そっと触れたくなるようなやさしい温もりを感じます。
竹や木片、貝殻、ペンの先や瓶のフタのギザギザ、鉄製の歯車のパーツ、プラスチックのヘラなどを使いわけをして、模様をつけたり、なめらかに形を整えたりします。
指先でへこませたところに、花瓶の持ち手をつけています。
太陽と風の力を借りて、数日かけて天日干しをします。ほんとうに驚くほどに自然のままのつくり方です。自然のめぐみを受けとり陶器づくりの伝統の知恵が磨かれてきたものと思います。
Tiênさんのお嬢さんがクワオ川の砂をサラサラにかき混ぜています。
さわってみると意外にしっかりした粒でしたが、細やかな白い砂です。
田んぼの下から掘り出された土です。クワオ川の砂と混ぜて粘土にします。
土にこぼれ落ちた籾(もみ)が自然に発芽していました。
庭の片隅には、野焼きをするための藁(わら)がストックされています。すぐ側にはチャンパの木がありました。Hóa Chăm Pa(ホア・チャンパ)/ プルメリアの花は、ピンク色の花を咲かせていました。
取材・撮影協力:Gốm Bàu Trúc-Mỹ Tiên(バウチュック陶器村)