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VOL.165 野焼き Làng gốm Bàu Trúc バウチュック陶器村-3

release : 2020-4-21 category : column, ベトナム〜おいしい散歩〜

バウチュック陶器村の工房にて(VOL.163, VOL.164)のつづきです。

古代チャンパ王国時代からつづく陶器づくりは、村に流れるクワオ川の砂と田んぼを掘りおこした土をこねて成形し、天日干しで数日間かけて乾燥させた後に焼成します。窯焼きではなく、藁(ワラ)や木の枝で覆うだけの野焼きをします。

枯れた木の枝をくべながら陶器を積み上げます。ココナッツの殻も隙間に入れて燃料にしていました。

この日は、大きな花瓶や植木鉢、装飾用の置物などを焼いていました。
バウチュックの陶器は、チャム民族の暮らしの様々なシーンで使われていました。台所の鍋や器、水や米など食材を保存するための壺や、神々の像、装飾レリーフなどから、チャム民族の信仰や言い伝え、自然をモチーフにしたものもあると思います。

陶器を積み重ねた上から藁(ワラ)でしっかりと覆います。

火入れをすると藁(ワラ)は勢いよく燃えて、陶器は炎に包まれました。工房は熱気でとても熱く、煙は目にしみるほどでした。

数時間の焼成後、自然に冷まします。すぐに見ることはできませんでしたが、仕上がりが楽しみです。

これは、工房に展示してある花瓶です。赤い土色と、煙に燻されたような黒色の陶器があります。温かみのある美しいシルエットに装飾が施され、光沢のある深い陰影にひきこまれます。バウチュックにしか表すことのできない大地からうまれた芸術性に感動します。

はじめてバウチュックの黒い陶器をみたときに、どのように色づけするのか不思議に思いましたが、今回の訪問で謎が解けました。

それは、Vỏ hạt điều(ボー・ハッデュー)カシューナッツの茶色の皮を使います。皮を水に浸して抽出した液体を布などに含ませて、焼きあがった熱い陶器に染みこませると、黒い色になるのだそうです。

数年前に他の工房でみかけた風景を思い出しました。工房の人たちが急いでカシューナッツの皮をむいていました。まさか、このときは陶器づくりに使われるとは思いませんでした。

村の歩道にて。小さなものは道端でも野焼きをしています。村の多くの人々がバウチュックの陶器づくりにたずさわっています。

 
 
フォトグラファー 青木由希子