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VOL.195 チャム民族の 井戸の村…1

release : category : ベトナム〜おいしい散歩〜

チャム民族の村* に、古代から井戸の村があります。
ニントゥアン省の乾燥した地域に干ばつのときもその井戸の水は枯れることはなく、村の暮らしをうるおしてきました。

村の名前は、Palei Cwah Patih チャム語でチョーパティ村。ベトナム名は、Làng Chăm Thành Tín タンティン村といいます。

*ニントゥアン省には、チャム民族の村が23あります。そのなかで、タンティン村は海に近いところに淡水の湧水をみつけて2つの井戸をつくりました。500年ほど前になるそうです。

 

©yukiko aoki

古代井戸の近くに住む女の子に会いました。
小さな虫の羽をそっとつまんでみせてくれました。

私も子どものころ、
草むらで花を摘んだり虫をみつけたりして遊びました。

この村にいると、なつかしい時間にもどっていきます。

 

©yukiko aoki

子どもたちにカメラを向けると、元気で弾けるようなリアクションに迎えられました。恥ずかしくてどうしたらいいのかわからない…。という心境だったのかもしれません。カメラを向けるとはしゃいで、カメラを下ろすとしーんと静かになって、おもしろかったです。旅先で、子どもたちに出会うとその土地に引き合わせてくれるようなところがあるので、私もなるべく子どものころのように新しい気持ちでゆっくり村を歩きます。

                         
 
 
タンティン村では、ある一定の範囲ですが、古代井戸の水で稲作がおこなわれています。

 

©yukiko aoki

ある日のこと。
村の田んぼは黄金色に輝いて、収穫の時を迎えていました。
井戸の水はあまくおいしいお米がとれるそうです。

 

©yukiko aoki

稲刈りが終わっても田んぼはところどころに湿っています。

これは、水辺の生きものにとって住みやすい環境で生物多様性* が豊かです。虫やカエルや小魚など、小さな生きものの種が守られて、鳥がきて食べにきます。鳥は、近くの森や遠くの山のすみかにもどっていくでしょう。かかわり合いながら、目の前に広がる風景は、切れめのない自然の豊かさに抱かれています。

*生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのことで、ベトナムと日本も締約国である生物多様性条約では、生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性という3つのレベルで多様性があるとしています。ニントゥアン省は乾燥したユニークな生態系を保持していて、ヌイチュア国立公園に代表されるような森林・海・半砂漠の希少な美しさがあります()。

 

©yukiko aoki

ある日、稲穂が青く実りはじめたころ。

いつもの畦道を歩いていると、
アサギマダラと思われる蝶が、野に咲く花に舞い降りてきました。

一年前も同じところで、この野花の向かいの茂みで、
アサギマダラは静かに羽を休めていたので、感動的でした。

子どもだったころ、小さな命の営みに一喜一憂していたのを思い出しました。

 
次回は、タンティン村の井戸をご紹介します。
この村には、男の人がつかう井戸と、女の人がつかう井戸があります。

©yukiko aoki

 
 
フォトグラファー 青木由希子