ベトナムは、7月1日から34省・市の新体制に再編されました。ニントゥアン省は隣りのカインホア省と合併しました。
私はチャム民族の村に通うために、2013年からニントゥアン省(南中部沿岸地方)に訪れていました。今回の再編で省の名前がなくなると知ったとき寂しく思いましたが、合併後カインホア省となり、これからもベトナムで最も美しい海岸沿いとして知られ、山と海の豊かさと村人の伝統的な暮らしが尊重され、ヌイチュア国立公園のユニークな生態系に希少な珊瑚やウミガメの産卵地として、持続可能な発展を願っています。
美しい海岸沿いに塩田がつづいています。ベトナムの中で一年を通じて日照時間が長く、乾燥した地域のため、塩造りに適していると思います。いつ来ても心地よい風が吹いています。
今年の5月に訪れた朝6時の塩田です。海水が天日と風により白く結晶化しています。
碧い山々は朝もやにつつまれて、塩田はとても静かです。
太陽の温もりと乾いた風に吹かれて海水の表面から少しずつ塩の結晶になっているのがわかります。朝の光りはやわらかくて優しいです。昼間は灼熱の暑さです。
薄氷に浮かびあがるような塩の結晶。
空に浮かぶ雲のようにみえました。さまざまな造形に魅せられます。
海水は、水路やパイプによって塩田に注がれます。
旧、ニントゥアン省の塩田は、海と山の間にすっきり収まっていて、洗練された美しさがあります。
塩の結晶は各所に集められたのち、集荷場へと運ばれます。
塩の山は黒いシートに覆われています。
ここからは、2015年に訪れたときの写真です。
ヌイチュア国立公園に近いので、山の岩がヌイチュアと同じようにユニークです。山の麓にお寺がありました。
Hiepさんという人から、この塩田は、ベトナムがフランス領土だったときにフランス式の塩造りが伝えられたとききました。
フランス式の天日塩田です。海水を太陽の熱と風で自然乾燥させます。ミネラル成分とうまみが増して美味しい塩がつくられます。
塩田の見回りをするHiepさん。この日は曇り空で過ごしやすい日でした。暑い中での塩造りは大変だと思います。
塩田の土手に穴が空いていて、海水の流れを調整しています。
Hiepさんから、生成色の塩をいただきました。気さくでさわやかな笑顔を思い出します。
海の養分を含んだ塩の結晶は大粒に仕上がっていました。まろやかな塩味がして美味しかったです。
塩田から北上するとCá cơm(カーコム)というカタクチイワシの加工工場があります。美しい海に豊かな漁場があり、名産のCá cơm kho(干し魚にしたカタクチイワシ)がつくられます。Cá cơm は、ヌックマム(魚醤)の魚として知られています。村人の暮らし生業を支えるCá cơm(カーコム)は、かごいっぱいに運ばれていました。
2014年に撮影したものですが、今でもCá cơm(カーコム)専用のかごは現役で使われています。プラスティック製のものもありますが、Cá cơm(カーコム)のかごは立派で素敵だなと思います。
Cá cơm(カーコム)を手際よく荷おろしています。
Cá cơm(カーコム)は、塩水でぬめりをとり、きれいに洗います。
水気を切って網状の板に広げます。
Cá cơm(カーコム)の荷下ろす人、塩水にさらし洗う人、蒸して、運んで、天日干しにする人などの役割があります。
薪を燃やして、Cá cơm(カーコム)を蒸します。2人がかりで庭に運びます。
庭に広げて天日干しにして数時間かけて乾燥させます。網板を地面から浮かせて風通しをよくするのですが、白化した珊瑚を使っていました。
青い海と空と、太陽と風の恩恵を受けて、自然のままに乾燥させます。
天日干しのCá cơm kho(カーコム・コー)は、うまみが凝縮されて、香ばしくスパイシーな煮込み料理などにします。