VOL.170　ディエンロック村にて-3　

ディエンロック村にて 1 と 2 のつづきです。

ディエンロック村の共同農園から水田の方に歩いていくと、村に流れるオーロウ川/Sông Ô Lâuから吹いてくる風を頬に感じました。風のなかにかすかな水の香りがします。透明感のあるあまい香りです。風向きによって、土の香り、畦道や青田から清々しい香りがしてきます。

田んぼの近くで、うまれてまもない子牛が草の上でまるくなっていました。オーロウ川からそよぐ風に身をまかせて、ふわふわと、無垢な表情をしていました。

畑に戻ろうとしたら、子牛のお母さんが道のまんなかで待っていました。私が子牛の近くにいたから、心配していたのかもしれません。

ヤギの家族もいました。まんなかのヤギは、お腹がとても大きかったです。３匹のヤギは、共にシンクロして私の方をみつめたり、田んぼや畑を見渡したりしていました。軽やかに丘を駆けあがり、ピンと立った耳と短いしっぽがかわいらしかったです。

アヒルの群れが、川で泳いだり、陸に上がって休んでいたり、魚釣りの船は川とラグーンを行き来しています。川の向こう岸には、水田が広がり、海老の養殖も盛んに行われています。

この写真は、オーロウ川がTam Giangラグーンと交じわる河口のあたりです。川の流れがゆるやかに雄大になっていきます。川の水がラグーンにそそがれ外海の南シナ海に接するまでの未知なる生命のいとなみにも触れてみたいと思いました。

 
 
フォトグラファー 青木由希子
 

2020.8.24

VOL.169　ディエンロック村にて-2　

2020.10.31

VOL.171　Cầu Ca Cút　Tam Giangラグーンの橋