ジャライ族Naお父さんの家の台所です。高床式の木造の家の2階にあります。
・VOL.210「ジャライ民族の村にて」のつづきです。
板の間の部屋につくられた四辺の木材でかこまれた「かまど」です。薪の上には鳥の羽が落ちていました。五徳(ごとく)に鍋などを置いて調理をします。
キャッサバの葉(Rau sắn/Lá mì)を炒めていました。キャッサバはタピオカ芋のことです。アズンパ市場(⭐︎)でキャッサバの葉をみかけました。盆ざるにこすりつけて繊維をやわらかくしたものを炒めて、川エビなどとあえます。
大きな盆ざるにCà pháo(カー・ファオ)という小さな丸茄子がありました。塩漬けにすると美味しいです。この盆ざるの網目にはキャッサバ芋の葉をこすりつけた跡がありました。
地産のとうもろこしです。かまどの煙に燻して保存食にしています。手で必要な分をもいで、とうもろこし炒めにしたり、種として蒔くこともできます。
かまどのすぐ上の横木(梁)には、干し魚が置いてありました。
不要になった扇風機のカバーをかごのようにつかい、かまどの煙で燻しています。
かまどや囲炉裏のある家では、日常的に保存食や野菜の在来、固有種を守ってきているように思います。先祖代々の種をつないでいる台所です。
収穫したばかりのお米です。「これは宝石のようなものです。」と、Naお父さんは瞳を輝かせていいました。
実は、この写真を撮ったときカメラの三脚がブルーシートに絡まってお米がこぼれ落ちてしまいました。今、思い出しても申し訳ない気持ちでいっぱいになります。このとき、Naお父さんは、板の間からこぼれ落ちたお米は、下に暮らしている牛や鶏が食べるから大丈夫といってくださいました。
「ザライ犬」と私は勝手に呼んでいるのですが、この地域にみかける白と茶の毛並みを持つ中型の犬です。高床の板の間に気持ち良さそうに寝ていました。ゆるやかな風を感じながら、耳は垂れてしっぽをくるんと巻いて丸くなっていました。
取材協力:前回につづいて、ジャライ民族の村訪問に際して、大恩寺(ベトナム寺院)ティック・タム・チーご住職にご紹介いただきました。お兄様のHienさんに村の案内をしていただきました。