旅のかけらでは、ベトナムの旅の途中に立ち寄ったところの話を綴っています。今回はダラット編です。
トゥイホア市場(VOL.177)から、ラムドン省のダラットに着きました。南中部高原地方にあり夏も涼しく過ごしやすいところです。フランス統治時代に避暑地として開発されフランスからのめずらしい野菜も育てられています。
ダラットの中心地から車でさらに山を登りアーティチョーク畑を訪ねました。地中海沿岸地域が原産のヨーロッパで親しまれる食材ですが、ダラットで栽培されるようになり、ベトナム料理としてアーティチョークと豚足を煮込んだスープや、根や茎や葉を焙煎したお茶などは特産品となっています。アーティチョークには身体を整えてくれる成分がありよく眠れて肝臓にもいいといわれています。
アーティチョーク畑の他にレタス畑もありました。ダラットは野菜がとてもおいしく農業が盛んなところです。高原のおいしい空気のなか、みずみずしくきれいな緑色と赤い土色が印象的でした。
アーティチョークのつぼみと葉の写真です。つぼみは緑色や紫がかったもの、つぼみや葉の形状が違うものなど4〜5種類ほどありました。このつぼみを丸ごと時間をかけて煮てスープをつくります。スープとやわらかくなった花弁(かたく)を歯でしごきながらホクホクした部分を食べます。
ダラットで食べたもの。牛肉のフォーを食べました。注文するとテーブルにハーブとレタスなどの野菜を盛った皿が運ばれてきます。長細くギザギザした葉のノコギリコリアンダー(Mùi Tàu・Ngò gai/セリ科)やオリエンタルバジル(Rau húng quế/シソ科)などを手でちぎってフォーに入れると、香りはもちろんのことスープのうまみがきわだちます。もやしはさっと湯がいたもので歯ごたえを残しています。
Phở Bò(牛肉のフォー)です。牛骨のあまみのあるさっぱりした出汁でとてもおいしかったです。米麺は薄めの平麺でレンゲと箸でするするっといただきました。素材がシンプルで優しい味がひろがります。ハーブやレタスはちぎってフォーと食べたり、スープにひたしたりしてたくさん食べました。
店先で指差しで注文する食堂Cơm Bình Dân(コム・ビン・ザン)にも入りました。白いごはん皿に、厚揚げの肉詰めトマト煮込みをのせてもらいました。私は食堂に入るとだいたい揚げ豆腐を頼みます。醤油味やトマトで煮たもの、レモングラス風味の揚げたものも好きです。この時もレタスが添えられていて、ぱりっとした歯ごたえとみずみずしさが後を引きました。
写真左からヌックマムのたれ、Mắm cà(マムカー)といって魚の発酵調味料マムネムにベトナムの小茄子(Cà pháo)ときゅうりとパイナップルと赤唐辛子などをまぜたもの、手前の黒っぽいたれはThịt kho mắm ruốc(ティッ コー マム ルオック)という豚肉とレモングラスとニンニクを炒めてフエのエビペーストで煮たものです。あたたかい白いごはんにのせながらくせになる発酵の味をいただきました。
豚バラのかりっと揚げたもの、きゃべつをさっと軽く炒めたもの、煮卵などを白ごはんのプレートにのせて食べました。青菜スープは、ぬめりのある葉が入っていてつるんとして喉越しがよかったです。地元出身の友人と落ち合って楽しくおいしいひと時を過ごしました。
取材協力:ダラットのオアンさん