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VOL.229 チャム民族の織物の村 ミュージアムにて

release : category : ベトナム〜おいしい散歩〜

ベトナム中部から南部にかけて栄えたチャンパ王国の末裔が多く住むカインホア省の南部(旧ニントゥアン省)には、My Nghiep(ミーギップ)織物の村があります。

チャム族は母系社会で母から子へと受けつがれる伝統文化があり、バウチュック陶器村()とともに古代より織物の村として知られています。

村の入り口にミュージアムがあります。広い床に機織り機がならび村の女性たちが様々なパターンを織っています。ここは、旅行者として訪れて見学をしたり、織物や小物を購入したりすることができます。

 

©yukiko aoki

洗練された織模様はどれも彩りが美しく、赤と黄色などの糸をつかい植物のつる・つた模様が織られていました。

 

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チャム族の伝統衣装には、細長い帯状のベルトを肩から掛けたり腰に巻いたり、多様につかわれていて、織り機は細長い布を織るようにつくられています。

 

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大判のストールは綿や絹糸などで織られています。この織物はとても細い糸で光沢がありなめらかな肌触りです。

 

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ミュージアムには、チャムのお祭りや儀礼の衣装(男性と女性)と、民族楽器の展示をしています。

はじめて訪れたとき、パラヌン太鼓(平太鼓)とギナン太鼓(筒型の太鼓)だけが窓辺に飾られていました。不思議に思っていたのですが、後にチャム民族に多くのお祭りや儀礼があることを知り、神々とつながる太鼓などの楽器と舞踊は欠かせないものであり、織物に込められた思いがあると感じました。

 

©yukiko aoki

棉花(めんか)から種をとりのぞいて糸をつむぐまでの道具や、織物がつくられる工程が写真パネルなどで展示されています。

綿の種といえば、愛知県西尾市にある天竹神社(てんじくじんじゃ)に「棉祖祭(めんそさい)」という綿を伝えた新波陀神(にいはたがみ)を祀る祭礼があるそうです。崑崙人(こんろんじん)が綿の種を持って、今の天竹町あたりに漂着し、この地に蒔いた伝説を祀るもので、木綿の発祥の地とされています。近年、その崑崙人はチャム人であったであろうと耳にするようになりました。

参考:西尾観光 / 天竹神社wiki / 繊維ニュース:2025年10月31日 綿の祭礼に崑崙人の末裔参加/天竹神社「棉祖祭」

 

©yukiko aoki

2023年、天竹神社に訪れる機会がありました。境内には綿に関連する昔の道具や台帳の展示がしてありました。

 

©yukiko aoki

チャム民族の伝統継承楽団「Kawom khik nam krung(カヴォム・キム・ナム・クルン)」の皆さんと。
2023年秋に来日公演をしました。(

 
話は、織物の村のミュージアムにもどります。

 

©yukiko aoki

一枚の織物が完成したところに居合わせました。感動的な瞬間でした。

 

©yukiko aoki

次の作品のために経糸(たていと)を張ってそろえています。

 

©yukiko aoki

織り機を整えるとすぐ織りはじめていました。

 

©yukiko aoki

機織りをする音が広い床にしずかに響いています。村の中で、先祖代々と伝えられてきた織模様に心を寄せました。

 
次回は、織物の職人・タンさんとの出会いをご紹介します。

 
取材協力:Vyさん Sohaniimさん Kawom khik nam krung(カヴォム・キム・ナム・クルン)の皆さん

 

 
フォトグラファー 青木由希子